《MUMEI》
暴かれた本音
(このこえは…)


代表して訴える男の声を、俺はよく覚えていた。


男の隣には、息子と娘がいた。


「叔父上… 迫真の演技ですね」

「何だと!?」


旦那様が指を鳴らした。


『清也はとうとう危ないらしいぞ。お前が也祐をたぶらかしてくれれば、これからは私の天下だ』


「なっ…!?」


スピーカーから流れてきたのは、間違いなく熱弁をふるっていた男の声だった。

『わかってるわ、お父様。あの人、もう私に夢中だもの。
バカな人。私は他に彼氏がいるのに』

『だから、也祐を騙すなんて簡単だって言っただろ』

会場の注目を一気に浴びて、男の子供達は震えていた。


(やっぱり)


三人は、二年前に旦那様の悪口を言っていた親子だった。


「…他の方々のものもありますよ。皆様、演技がお上手ですね。

後ろめたい事がある方々は、退場をおすすめしますよ。

あぁ、安心して下さい

ちゃんと、普通の生活が送れるようにはしますから。
…大切な身内ですから、ね?」


旦那様の言葉に、大半の親族は逃げるように会場を後にした。


残っていたのは、俺も含めて僅か数名しかいなかった。


そして、パーティーは幕を閉じた。

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