《MUMEI》
ホントの名前
「そういえば、秋谷って…どうしてあなたの事好きになったのかしら」

俺はハッとする。
「どこがいいんだろう…前、確か秋谷、宮が好きだとか言ってたな」

俺は携帯を出して、メールチェックする。

「そうね…でも、私、あの人の事好きじゃなかったわよ」
「なんだって!?」

思わず大声を出してしまった。

「近所迷惑…」

「あ、悪い」
「ゴホン、何?もし私があの人を好きだったら、アイツの変態を直せたのにって?」

当たりになってしまった…
「そうだよ」
「ハッ…私は女よ?男心が分かるのは男しかいないじゃない」

見下したような目線で俺を見る宮。少し怖かった…

「そりゃそうだけど!」

「…私は男同士で付き合うのは反対しないわ。恋愛対象で見てくれるなんて素敵じゃない」

返って違う人に相談したほうが良かったかな…俺は絶望感を味わいながら、宮の家へ向かった。


一方、秋谷は―

「…龍也…」
自分の部屋で考え込んでいた。

「兄貴!」
すると、秋谷の姉が入ってきた。
「…なんだ、ゆうみ」
姉は、秋谷ゆうみと言うらしい。

「大丈夫?なんかやつれてるわよ?」
「あ、あぁ…大丈夫だ」

秋谷は宮の傍まで行った。
「で…なんの用だ?」

「龍也さんから電話だって」
「なにい!?」

(さっきと顔色が違うわよ)

そして、秋谷は下へ降り、俺へ電話で話かける。

「…なんだ、なんの用だ?」
「よ、よぉ…凄い明るいなお前」
「いつもの事じゃないか」
俺は少し呆れ半分に声色を変える。

「あのさ、そろそろお前の名前教えてくれない?」

実は、知らない所で会ったので、名字しか知らなかったのだ。

「…全く覚えてないのか?」
「あぁ」
覚えてないという事は…どこかで会っているのかな。俺は傍に居る宮に聞いてみる。

「宮にちょっと聞いてみる」
「あぁ」

宮はベッドの上に横になりながら答えた。
「…秋谷の名前?」
「あぁ」
「秋谷 尚よ」

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