《MUMEI》

「絶対コイツを一本勝負で決着つける。」


須藤を見据えて言い放った。


勿論、ストレートだけで。


相手は俺の言葉が聞こえたのか、いきなり高笑いをしだした。


「ハッ?ばっかじゃねぇ?!

何ほざいてんだよ…」


ここまで言い切ると、突然須藤の言葉が途切れた。


俺が須藤の言葉を制したからだ。


「黙れ!!

お前、いい加減俺を舐めるのも大概にしろよ。

その口、叩けないようにしてやるからな。」


自分でも分かる。


物凄く怒りに満ちていると。


豪田は俺の様子を察し、落ち着いて行けよ、と注意の意味を込めたサインを出しながら、真っ直ぐにミットを構えた。


俺がストレート一本だけで攻めて来ることを見抜いているみたいに。


そうして、遂に俺の手から第一球が投げられた。



ズドン!!!



決め球を成功させた時と同じ音が球場に響いた。

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