《MUMEI》 ガラスの心〜麗羅視点〜 フラフラとおぼつかない足取りで自分の席に向かう歩の後ろ姿を見て、溜め息が漏れる。 傷付けたくなんてないのに、何であんな態度とっちゃうんだろう・・・ 歩の反応を見て、傷付けたって気づく。 それじゃ遅いのに・・・歩なら冷たい態度の裏にある気持ち、分かってくれるんじゃないかって 歩なら笑って許してくれるんじゃないかって 甘えてたんだ・・・。 私が側に居ることは、歩にとって良くないことかもしれない。 傷付けて、悲しい顔させて・・・ 歩も一緒に居るなら、もっと素直で優しい子がいいんじゃないのかな?? ふと視線を歩の方に向けると、前の席に座る小湊と楽しそうに話しているのが目に入る。 ズキン―― もし心がガラスで出来ているなら、私の心は音を立てて崩れ落ちているかもしれない。 キーンコーンカンコーン―― そんな私の心を知る由もなく、ホームルームの始まりを知らせる鐘が鳴り響く。 海が、じゃあっと軽く挨拶をして自分の席に戻っていく。 去っていく海に笑顔で手を振る。 でもやけに頬が重くてつっぱる。上手く笑えなくなった人形みたいに・・・ 前へ |次へ |
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