《MUMEI》 昼食昼休み。 「私も図書委員になりたかったなぁ…」 購買のパンを食べながら、志貴はため息をついた。 吾妻高校の購買のパンは、普通より美味しく人気がある。 だから、志貴も週二回程購買のパンの日があった。 「仕方ないですよ。志貴さんは。担任の指名だし」 当然のように、志貴と同じ購買のパンを食べていた拓磨が口を開いた。 志貴は担任の希望で今年も学級委員になった。 「あんたと一緒になんてね…」 「俺は、いつまでも諦めませんから」 拓磨は本人の強い希望で副委員になった。 最近では、志貴の取り巻きも、拓磨を認め始めていた。 「煩い取り巻きがいないのはいいけど…一人がこううっとうしいとねぇ…」 (本人を目の前にすごいな) 盛大なため息をつく志貴の目の前で (…こいつもすごいな) 拓磨はものすごく嬉しそうな顔をしていた。 「さてと、そろそろ行くか」 「だな。行くぞ、拓磨」 いつまでも志貴を見つめる拓磨を、守と真司が引っ張っていった。 午後からは、体育館で新入生に対しての部活の紹介があるから、守と真司は『可愛い子チェックができる』と張り切っていた。 前へ |次へ |
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