《MUMEI》 すれ違い俺は保育園には通わなかったが、小学校は、普通に通い始めた。 そうなると、ただでさえ忙しい旦那様と会う時間はますます減っていった。 姫華様が生まれ変わって以来、できるだけ旦那様と一緒にいるようにしていた俺は、最初はそれを寂しく感じた。 しかし、俺は子供だったから、すぐに新しい環境に馴染んだ。 友達もたくさん出来て、遊びに夢中で帰りが遅くなる時もあった。 それから、一年後。 小学二年生の俺に、同い年でちょっと可愛いなぁと思える女の子ができた。 姫華様の事を除けば、それが俺にとっての普通の初恋だったと思う。 バレンタインにその子からチョコレートをもらって、浮かれた俺はその事を 両親や妹 それに、旦那様に報告した。 皆、笑顔で俺の報告を聞いていた。 俺は無邪気な子供だった。 幸せいっぱいの子供だった。 そして 残酷な子供だった。 その時、旦那様がどんな状況か知らなかった。 何も知らなかった。 せめて、あの時 あの夜 俺がきちんと旦那様の事をわかっていたら 俺は… しかし、過去は変わらない いくら悔やんでも、何も変わらないのだ。 前へ |次へ |
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