《MUMEI》 午後の予定午後は、部活に入っていない俺と志貴は教室の掃除をして帰るだけだった。 「私はこれからバイトだけど、祐也は?」 「あ〜、ちょっと用事があるからまだ学校にいる」 「…何の用?」 志貴の目が鋭く光ったような気がした。 「葛西先輩に、美緒さんから伝言あるんだ。あと、連絡先教えなきゃいけないし」 「『美緒さん』って、…葛西先輩の憧れのカメラマンだったっけ?」 志貴の言葉に俺は頷いた。 俺が春休みに『アニバーサリー』で作ったビーズアクセサリーは、無事に美緒さんと春日さんに届いたらしい。 先日、美緒さんからお礼の電話がかかってきた。 春日さんの声が聞けなかったのは残念だったが、美緒さんは『キヨさんも喜んでいたから』と教えてくれた。 その時、俺は葛西先輩の事を美緒さんに伝えた。 美緒さんは、説明が下手なので人を教えたり出来ないから、残念ながら弟子は取らない主義らしい。 《でも、その子の写真は見てみたいな。よかったら送って》 そう、美緒さんが言ったから、俺は葛西先輩に、今日その事を直接会って伝えるつもりでいたのだった。 そして俺の話を聞いた志貴は、納得して先に帰っていった。 前へ |次へ |
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