《MUMEI》
ニセモノ
(…何、コレ?)


俺のパジャマと下着は乱暴に脱がされた。


「や、…やぁ…」


手が、舌が、俺の体を這っていく。


「やめてよ!」


ギュッと握られた場所は、男の子の大事な部分だった。


「やめて!やめて!」


アイスキャンディーのように、そこを舐めたりくわえたりされて、俺は悲鳴をあげた。


「受け入れてくれるんだろ? 私を。
約束したじゃないか、姫華と」


無理矢理、うつ伏せにされた。


コレハ、ダレ?


「寂しいんだ」


顔を枕に押し付けられて、相手の顔が見えなくなった分、恐怖が増した。


「い、痛い!」


排泄器官である筈の部分に指が入ってきた。


「愛してるんだ、忍。…お願い、受け入れて」


(そんなの…)


「お願い、愛して、忍」


ソンナノ


「無理だ! できない! 愛するなんてできない!」


「…忍?」


乗っている重みは変わらなかったが、俺の中から指は抜けた。


俺は、振り返らずに叫び続けた。


「お前なんか、おれの知ってるだんな様じゃない!」

俺の知っている、賢く優しい旦那様じゃない。


「お前なんか、キライだ!大ッキライだ!この、ニセモノ!」

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