《MUMEI》

◇◇◇

あたし達は公園から帰るついでに──

ちょっと道草したりしてた。

「楽しかったな♪」

「うん(微笑)」

楽しかった。

二人で出かけられた事も──

蜜樹君に喜んでもらえた事も。

あたしの手はしっかりと蜜樹君の手に繋がれて──

枯れ枝になった木が立ち並ぶ小道を歩きながら‥

春が待遠しいね≠ネんて呟いてみたり。

蜜樹君は‥

そうだな──≠チて澄んだ空を見上げながら言った。

それからあたしの視線に気付いて‥

にぱっと笑った。その笑顔に‥

まるでここだけ春が来たみたいな感じがした──。

◇◇◇

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