《MUMEI》
ざわめく体育館
「次は、演劇部です」


司会の声が、体育館から聞こえた。


(何だ?)


その後すぐに、体育館が騒がしくなった。


(おかしくないか?)


去年、俺達が説明を聞いていた時は、こんなざわめきは無かった。


外で出番を待っている連中も気になって中の様子を覗き始めた。


「祐也も来いよ!」

「俺は…」


『いいよ』と言うのに、ステージ近くの入口に祐は俺を引きずるように連れて行った。


「「静かにして下さい!」」


司会と部長が同時に叫ぶ。

すると


「はい!質問!」


マイクも無いのに、その声は、体育館に響き渡った。

(あ、あれは…)


それは、果穂さんの資料にあったうちの一人だった。


「すみません、私は一年一組 坂井 結香(さかい ゆか)です」


いかにも優等生といった印象のキリッとした美少女が立ち上がると、全員の視線が坂井さんに注目した。


「どうして、演劇部に、クイーンと姫がいないんですか?

それに、去年の劇のメンバーがほとんどいないのは、おかしいです」


坂井さんの発言に、新入生達は『そうだ そうだ』と口々に叫んだ。


その中には、厳と頼の姿もあった。

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