《MUMEI》 どれぐらいの時間が経ったのだろうか。 気がつくと、空は夕闇に染まっていた。 どうやらあの後、眠りに付いていたみたいだ。 「もう夜か…。」 力無くため息をつくと、ベッドから体を起こして部屋着に着替えた。 そうして、ただ何となく部屋の電気をつけないまま、その場に佇んでいた。 もしかしたらこの時、気付いていたのかも知れない。 これから起こる不思議な体験を…。 星がチラホラ姿を現した頃、突然激しい突風が吹き抜けた。 尋常じゃないその激しさに、俺は思わず身構える。 しかもその突風は、上から下へ吹き抜けた。 普通は横に吹き抜けるものだろう…。 俺は不思議に思い、恐る恐る窓から外を見下ろした。 すると……!!! 目の前の電柱に人が引っ掛かっていた!!! 幸い、俺の部屋は二階にある。 俺の部屋へなら、なんとか引きずり込むことが出来るかも知れない。 電柱に引っ掛かっている人は、気を失っているのだろうか? さっきからピクリとも動く気配がない。 「取りあえず、助けないと。」 俺は出来る限り手を伸ばした。 そうしてその人をしっかりと掴んだと確認してから、渾身の力で俺の部屋へ引きずり込んだ。 前へ |次へ |
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