《MUMEI》 それぞれの部活「さて、俺等も頑張るか」 グッタリしている俺の肩を叩いて、祐は体育館に入っていった。 「…主役って何ですか?」 俺は部長を睨みつけた。 真司の姉は卒業し、新しく部長になったのは、去年薫子役をやった小柄な先輩だった。 「だって、それしか考えられなかったから」 去年台本にあったような 『花のような微笑み』を浮かべながら、部長はキッパリと言った。 「実は、やりたい劇があるのよね」 「…?」 「楽しみにしててね」 何だかものすごく嫌な予感がした。 そして、放課後。 [入部希望です!] 「日本語で言え」 「祐也の恋人役希望です!」 「言ってる事が違うだろ!」 真っ先に演劇部にやってきたのは頼だった。 「うんうん、やっぱり姫効果は絶大ね」 部長が言う姫効果かは知らないが、新入生はその後も続々とやってきた。 (あ…) その中には、坂井さんもいた。 ちなみに、厳はバスケ部に入ったらしい。 (じゃあ、あっちにも候補が行ったのか) 果穂さんの資料の中には、中学時代バスケ部に所属していて、確実に高校でもバスケをすると言っていた女の子がいた。 前へ |次へ |
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