《MUMEI》 その後それから、俺はひたすら勉強した。 友達と遊ぶのも、恋をするのもやめた。 紫よりも、優秀な執事になる為に。 傷付けた旦那様の側に俺がいるためには、それしかなかったから。 そして、出来れば、もう一度機会があれば、今度こそ逃げずに旦那様を受け入れたかった。 旦那様は二十歳で美しく賢い令嬢と結婚していたが、それが形だけである事は、屋敷の誰もが知っていた。 …何故なら 『彼女の夫は彼だけだ。二人の子供なら、優秀だろうから、子供は春日の後継ぎにする』 結婚式の後、招待客が帰った後で旦那様が自ら、屋敷の皆に説明したのだ。 『彼』は、令嬢の… 奥様の実家にいた使用人だった。 だから、奥様が生んだ子供は、旦那様に似ていなかった。 結婚しても、子供がいても、未だに旦那様は孤独なまま、ひたすら仕事に没頭する日々が続いていた。 (それにしても、男同士って…どうヤルんだ?) 十二歳になった俺は、普通の性教育は勉強していたが、普通じゃない性教育は勉強出来なかった。 だから、俺は、一旦屋敷を出る事にした。 (待っていて下さい、旦那様) いつかの、三階の窓を見上げて誓った。 前へ |次へ |
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