《MUMEI》
始まりの朝
―東京、都内某路線―



ガタン、ゴトン…
ガタン、ゴトン…



私は電車に揺られていた…。

周りの景色は緑溢れる自然から、人間の文化と呼べるまで立ち並んだコンクリートだらけの風景へと姿を変えている。




やっと憧れの都会にこれたんだ。





私の名前は草壁八雲(くさかべやくも)。
今年16歳になる女子高生だ。

…いや、3月半ばだし、正確にはまだ高校生ではない。入学は4月からだもんね。

田舎のごく普通の中学に通っていた私だが、
憧れの都会に進出すべく大嫌いな勉強を死に物狂いでやり、
無理だとまで言われた超進学校への切符を手に入れるまでに至った。


お蔭さまで、子供の頃あれだけ健康的に焼けていたはずの肌は真っ白になり、
視力は格段に下がり、ビン底眼鏡。
美容室なぞ行かずに家で親に切ってもらった不揃いの髪の毛。


代償は大きかった…。


中学二年の頃にはすっかりガリ勉君の異名を与えられ、クラスからは浮いていた。
まぁ外見気にしてられなかったからね。

しかし一度失ってしまえば割と慣れるみたいで、







その


ガリ勉スタイルのまま


都内の


電車に


乗っている…

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