《MUMEI》
プロローグ
――月軌道L1宙域――

そこは戦場だった。ビームが辺りを交差し閃光、そして閃光、また閃光。

今まさに地球に向かい進行を続けているコロニーを巡り地球連邦軍と革命軍がぶつかり合っていた。
巨大な質量であるコロニーはその表面をボロボロにされながらも、着実に地球へと進んでいる。

宇宙革命連軍によるコロニー落としである。

状況は数で勝る連邦軍が革命軍の艦隊をじりじりと押していた。




――連邦軍指令艦隊――

連邦の艦隊は、コロニーの進行軌道上で友軍艦隊を広く敷き、待ち構えていた。
幾重もの戦艦が陣形を張りまるで巨大な螺旋を描いている様にも見える。
それらの艦隊を総括する旗艦エメト=エリシュの艦橋では、作戦の司令官が意気揚々と声を荒げている。
40代位の旗艦長が艦長席から立ち上がり怒鳴り散らす。

旗艦長「状況はどうなっている!報告しろ!!」

オペレーター「はっ!ペガサス艦隊が敵中衛艦隊まで押し崩してます。ホース艦隊の方は後5分で所定位置に配置完了するとのことです!」

上に見えるモニターには連邦艦隊がコロニー全面で壁の様になろうとしているさまが映し出されている。
旗艦長はモニターに映し出された巨大な巨影…コロニーがみるみると友軍艦隊に近付いていくさまを見上げ憎らしげに舌打ちをした。

旗艦長「ホース艦隊を急がせろ!カイラム大隊は核ミサイル発射時の邪魔になるMS隊を一機でも多く蹴散らせ!」

旗艦長「・・・ふん、革命軍め、ふざけた真似をする」

旗艦長「こんな物を地球に落とそうなど・・・大罪人どもめ!」

オペレーター「グレゴリオ艦隊所定位置まで配置完了しました!」

旗艦長「だが貴様らの愚かな抵抗もここまでだ・・・よし!核ミサイル発射!」

オペレーター「核ミサイル発射!」





――宇宙革命連軍指揮艦隊――


オペレーター♀「・・・そんな!別動隊!?」

作戦司令官「どうした…!?」

オペレーター♀「月の裏側から敵の別動隊が!おそらくステルスシェード艦です!」

作戦司令官「地球から上がってきた援軍、か・・・グラウフ艦隊を先行せろ、月の裏側の奴はバルデ艦隊にやらせる」

オペレーター♀「月の艦隊から熱源多数!?この反応って・・・核ミサイルです!!?」

作戦司令官「・・・ここで撃ってきたか。だが・・・遅かったな」

オペレーター♀「核ミサイル!コロニー、及び中心艦隊に直撃コース!!全ては止められません!!・・・司令!」

作戦司令官『作戦行動中の宇宙革命連軍全艦隊、よくここまで凌いでくれた・・・!陽動は果たした・・・我々の・・・勝ちだ!・・・』


革命連軍司令官が最期の一声を放ったその刹那、月と地球の間で夜明けが訪れたのだった――――。

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