《MUMEI》

んもう、
氷室様たら僕のあちこちが興奮するくらいに放置をキメてくれるんだからっ……

でも、素敵。
なんなら逆さに吊されたって構わないのだから!


「……あ、渡部だあ。」

寮の廊下で志島螢と出くわした。
いい気分台なし。


「その荷物何?」

志島螢は段ボールを抱えている。


「何って、俺も今日から寮に戻ろうかと。」

氷室様は志島螢と同室だった。(今は明石と氷室様が同室になっている)


「……へぇ。そう。」


「いや、悪いんだけど渡部手伝ってくれる?首が動かせなくて……」

志島螢は水平に移動している。


「いいけど。」

志島螢は氷室様と親しかったせいか一目置かれていた。別名、クラスから浮いている。

まあ、手伝ってやろう。


「助かるよ有難う。116号室に運んでくれる?」

116号室……
そうか、こいつ116号室だったんだ……!




「……志島、独り寝って淋しいよね?」


「なんだよ突拍子も無く」


「夜、この寮って出るんだよ……」

口が勝手に動く。


「出るって何が……」

お、食いついた。

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