《MUMEI》

宮が迫り、俺は後ろにすがると、ドアに近づいてしまった!

「…なに怯えているの?」
「そりゃ怯えるだろ!そんなに近いと!」

俺は宮の顔が見れなかった。
「…何もしないわよ」
「いや…絶対なにかある!」

宮は後ろに引っ付き、俺は動けない状態になってしまった。

「…宮」
「なによ」

「俺にどうして欲しいの?」
また宮は体勢を変えて話かけてくる。

「黙って」
その時、宮は俺にキスをして来た。
俺は座ったままだったので、宮も下に座りながらキスしてくる。

「…ん…」
「くっ―」

そして、口と口と離れていった。

「宮…」
「何?」
「俺は仮にも尚のもんだぞ」

俺は少し眉毛を吊り上げ、話す。宮の肩に手を起きながら。

「私はどんな困難にも耐えていけるわ。たとえそれがあんたが男と付き合っていてもね」

宮は本気で俺を愛しているみたいだ…こんな時に秋谷からメールも来ないし。


「ねぇ…目を逸らさないでよ」
「…、分かってる」
「分かってない!もー!この人と話しているとラチが開かないわ!」

俺は帰る用意をする。

「じ、じゃあ…俺帰るわ。もう暗いし」

「…待って!」
「え?」

宮は小さなメモ用紙を俺にくれた。

「…私のアドレス変わったから…なにかあったら寄越しなさい」

「あ、ありがとう」

そして、受け取り、俺は家へ戻る。


「バスで帰ったほうがいいかな」

ふと、なんとなく後ろを見れば月が見えていた―


(俺は…誰と付き合えばいいんだろう)

「畜生!」
そして、俺は再び前を見て自分のアパートまで走って帰った。


「…と、鍵 鍵」

ガチャっとドアを明けて靴を脱ぎ中に入る。
疲れたような感覚が体に来ている。

「…やばいな…これは」


毎度宮の部屋に行くと、自分の部屋がどれだけ汚いか分かる…。


「掃除するか」

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