《MUMEI》
テツの醜態
ドアから出ると力は「いつもは俺が奈留を送るんだけど今日は急いでるから駅の近くだし、テツ君頼むわ。」それだけ言うと家の前に置いて置いた原チャリにまたいで力はそさくさと行ってしまった。「えっと…じゃあ、奈留ちゃんは何小なの??」
「東辰間小だよ。」
(まじかよ…全然駅近くないんですけど。初対面なのにはめられたぁ〜…けど、奈留ちゃん一人にしとくわけにはいかないしなぁ〜。)
「じゃあ、行こっか!急がないと遅刻になっちゃうし。」テツはくしゃくしゃの頭をかきながら言った。

小学校に奈留美を連れて行って駅の電車に乗る頃にはもう9時を過ぎていた。
「あぁ〜絶対遅刻だよ。」テツがブツブツと呟いているとテツが掴まっている吊革の前に座ってる同い年くらいの女の子がこっちをジロジロとみていた。(なんだろ。この子。俺なんかしたっけ?ってあれ!?同じ制服じゃん!同じ高校か?こんな子みたことないな。ハーフっぽいしなんか綺麗だけど。俺、なんか顔についてるか?)
テツは物凄く気味が悪かった。なにせ、普段女の子に見つめられることなんてないからだ。テツが目的の駅に着くともう遅刻決定だが、少しでも早く着きたい焦りと謎の女の子から逃れたい思いで、全速力で走った。「ハァハァ…すみません遅れました。」テツが胸を押さえて教室のドアを開けた時はすでに10時42分で運悪く担任の授業だった。
テツがドアを開けてわずか0・1秒で担任の怒鳴り声が教室中に響いた。
「安田!!コノヤロウ!何度目だぁ!!コノヤロ―!校庭にこい!」先生は目が飛び出んばかりの形相で怒鳴り散らした。
担任の桜井先生はスポーツ刈りでまるでヤクザのような傷が目の上にある。そんな先生がものすごい形相で怒ることはものすごい恐いはずだが、もうなれたみたいだった。教室の状況を確認する余裕があったくらいだ。透がケラケラ笑ってる。
「おい!聞いてるのか!?」
「は、はい。」
「じゃあ、来い!!他の者は自習!!」桜井がテツを思い切り引っ張って校庭まで運んでいった。全く教師というのはいつの時代も乱暴なものだ。とくにここは私立だから質が悪い。
校庭に着くと桜井は彼の授業が終わるまで走るように命じた。自習とかいいながらも桜井は朝礼台の上であぐらをかいて座っているだけであるし、生徒のほとんどは窓からこの醜態を眺め、ゲラゲラと笑っている。

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