《MUMEI》
しつこい頼
[じゃあ、かわりに祐也の事教えて]

[嫌だ]


(てゆーか、どこまで付いてくるんだ?)


俺達は、駐輪場にいた。


[冷たいなぁ]

[大体、何で俺の事知りたいんだよ]

[そんなの、好きだからに決まってんじゃん。好きな人の事は、何でも知りたいのが普通でしょ?

俺にしてみれば、志貴の方が不思議]


(そう言えば…)


志貴は、俺の過去の事を何もきかない。


[言うほど好きじゃ無いのかもね]

[そんな事無い]


(…ん?)


普通に英語で会話に加わってきた人物がいた。


「柊」

[何でいるの?]


俺と頼は同時に振り返った。


[それはこっちのセリフ。何で頼が祐也と二人っきりでいるんだ?]

[だって祐也と俺は仲良しだもん、同じ部活の先輩後輩だし]

「本当?」

「同じ部活なのは本当」

[演劇部だよ]


頼が嬉しそうに付け加えた。


[祐也に構ってないで、さっさと花嫁見つけたら?]

[そっちこそ、希とイチャイチャしてたら?]


頼の言葉に、柊の顔が真っ赤になった。


[お祖母ちゃんから聞いたから]


頼は勝ち誇ったように言った。


[それでも俺は、友達の祐也が心配なんだ]


柊は頼を睨みつけた。

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