貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》プロジェクト「VAL」
研究所外の貯水池の脇には、管理室がある。
ほとんど誰も使用しない室内に地下研究室の入り口はあった。
古びた机の引き出しの奥にカードを通すスリットがある。
…メモに挟まれていたIDカードをスキャンさせる、床がスライドし闇が伸びる階段が現れた。
俺は暗闇へと一歩づつ踏み出していった。
貯水池全体の広さを持つ地下研究室では、いつから開発しているのか、既に全体が完成した次世代機動戦闘歩兵…MT(モビルトルーパー)が置かれている。
何人もの研究者達とメカニックが忙しく動き回っている。この機体、名を…VAL、そう、俺が小さな頃見たロボットアニメに憧れて自分で考えた機体だ。
まさか親父が、子供の妄想をベースに作り上げていたなんてさ…
「…親父」
「来たか、どうだ?幼い頃描いた夢が目の前にあるというのは?」
「さあね、それよりどうしてMTの開発を行っているんだ?俺達は救助活動を目的としたロボットの開発を目指してたはずだろ!」
「そうだ、だがこのMTの開発はある意味では本来の目的を達成している。」
なんだと…?
親父は淡々と説明を続ける。
「統合連邦の依頼でな、次世代戦闘機であるこの機体を対ガル・ズィー用の切り札として急遽ロールアウトしなくてはならなくなった。」
「なんだって急に、現状ではこんな機体が必要だとは思えないな!」
「そう言ってはいられない事態になっているのだよ」
親父はモニターのパネルを操作する。
メインディスプレイにガル・ズィーの破壊活動と思われる映像が映し出された。
「な…これは」
映像には三機のMTが映っている。圧倒的なパワーで軍の部隊を壊滅させている…
「まだ試験段階であったMTをここまで実用化させたガル・ズィーはただのテロリストとは思えない。」
「MTにはMTで対抗するっていうのかよ」
「結果的にはそれはガル・ズィーの攻撃から人々を守るということになるだろう?」
正義の味方のつもりか?やろうとしていることは戦争なんだぞ…?
「親父は…親父はガル・ズィーに母さんを奪われた憎しみだけでこれを作り上げたんだろう!?」
「…」
「大層な大義名分を振りかざしたって、親父のやろうとしていることは…!」
その瞬間、地面が大きく揺れる。
「なんだ!?」
「所長、ガル・ズィーの攻撃です!」
メインディスプレイには地上の様子が映し出された。さっき見たMTが市街地に三機立っている。
「…ここを嗅ぎつけたか」
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