《MUMEI》
「もうちょっと進んでいい?」
「だめ…ムリ…」
「動いていい?」
「ムリ、ムリぃ」
何度も唇で涙を掬い唇にキスをしたり頭を撫でてくる。
ふと、まこちゃんは初めての女にはいつもこんな風に優しくするのかなとか、
俺ってもしかして嫌がりすぎ?
手間かかりすぎ?
嫌われないかな…
とか、
嫌われたくないって胸の奥から込み上がってきて、本格的に涙が溢れだした。
「う″う〜、ひっぐ、う〜、う〜」
気がつけば俺からまこちゃんは出ていて、俺をきつく抱きしめていた。
「ゴメン、やりすぎた、ごめんな、無理だよな」
「ぢがう、ぢがうよぉ、まこちゃんじゃなくて俺が悪くてー、ひぐっ、あ〜」
馬鹿みたいに泣きじゃくって、いっぱい頭撫でられて。
嫌わないでとかゴメンとか怖かったとかごちゃごちゃ叫んだ。
まこちゃんは俺が落ち着くまでずっと背中摩ってくれて、優しく相槌うって。
その優しさもいつもの事なんじゃないかってまた込み上げて嫉妬の言葉を吐いたら、骨が軋む程抱きしめられた。
「わりい、日高」
「あやまんな、虚しくなる」
「違う、そんなんじゃなくて、ごめん」
「わかんねーよもう、離せよ」
俺は腕を突っ張る、しかしびくともしない。
「離せ」
「離さない」
「なんで!」
「惚れたから」
「……は」
「日高に惚れた、
やばい位、だから離せない」
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫