《MUMEI》

窮屈な中目覚めると俺はまこちゃんに羽交い締めにされていた。両腕できつく抱きしめられ、胸に寄せられていて。
長くて硬い脚は俺を逃がさないかの様に俺を挟んでいた。



「…喉渇いた」

ボソッと言ってみる。
「………なんて…、
はあ…」

薄い寝息で完全に意識がないの分かってながら言っただけ。
何とかすればほどけそうな気もするけど一端離れたらこの胸に戻りづらい。





喉の渇きと痛みに不快さを感じながらも俺は自分からまこちゃんの胸に頬を擦り付け、腕を背中に回した。



「なあ、まこちゃん…俺でいーのかよ…引き返すなら今だぞ?なあ、……」



うそ、嘘。
こんな事微塵も思っちゃいない。




俺も…好き…かも



だって、くっつきたくて仕方がない。


つか



抱かれたから惚れるなんて大昔のドラマみたいだ。


いや、抱かれたから惚れた?


それとも知らないうちに好きだったとか?



不明


不明、不明。




つか、まこちゃんってよくわかんねー!
優しかったり激しかったり、
余裕あったり
なかったり。







俺はこの温もりから離れる術を知らず、ゆっくりと目を閉じた。

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