《MUMEI》
わん……
七生の後ろ姿を追い掛けるのは辛い。
自転車を手押ししてくれているけど近付けないオーラ出されてる。




「……二郎。」


「は、はいっ」

突然呼ばれて上擦った。


「 釦。」

う゛、
シャツの釦が二番目まで寛いでた……。

急いで正した。

横顔から分かるようにあまり眠れていなかった面持ちだ。

俺なんか、記憶無いくらいに爆睡してたのに。


「お、怒った……?」

……なんて、自惚れてる。


「――――なんで?」

聞き返された。
七生君……目が、笑ってません。


「う、うん?」

更に聞き返してしまう。
変な汗出てきた……。

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