《MUMEI》

ズドン!!!


またしてもあの音が響いた。


ただし、今までとは少し違う。


何故なら、須藤が振り送れたから。


ヤツにホームランを打たれた時も、今回の第2球目の時も、俺の球を完全に見切っていた。


なのに…その須藤が振り遅れ?……


だが、その一瞬の戸惑いは次の瞬間、跡形も無く消えていた。


『152km』


確かにそうバックスクリーンが示している。



ウソだろ!!?


152kmなんて初めてだぜ……?


未だ信じれないでいると、


「ストライクっ!!バッターアウッ!!

ゲームセット!!!」


少し遅れて審判の威勢の良い声が球場に木霊した。


俺は、その声を聞いた瞬間、


「ヨッシャぁあああ!!!!!!!」


マウンドに膝まついて雄叫びを上げていた。


チームメイト達も俺の側に寄って、一緒になって雄叫びを上げる。


「ホンっト、お前にはハラハラしたぜ!!」


豪田がバシッと俺の背中を叩く。


「ってーなぁ!!
俺はいつもどうりだったし!!!」


「ウソつけ!いつもみたいなポーカーフェイスじゃ無かったもん。」


山村がホームベースへと向かいながら、俺の頭をベシッとひっぱたく。


「え〜!?そうだったか!???」


そんな会話をしながら、俺たちはホームベースを挟んで相手チームと対になるように一例に整列した。


『ありかとうございましたっ!!!』


両者の威勢の良い声が響く。


「ヨッシャ、帰宅だ〜!!」


試合終了の挨拶を交わすと、俺達は潔くベンチへ戻って行った。

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