《MUMEI》

パコンっ


扉を開けて颯ちゃんの元へ駆け寄った途端に頭を小突かれた。


「って!!
なんだよ!!!」


「バカ!大声出すな。」

「へ?」


「お前の親父に聞かれたら堪ったもんじゃねぇからな。」


ああ、そう言うことか。

「まあ、口だけでは許してるけど、内心俺等が合うことに反対しているもんな。

……でも、大丈夫!」


「…ん?どう言うことだ?」


「今、親父入院してんだ。

ちと、肺を患ってな…!!

つっても、もー直ぐ退院するけど。」


そう言って俺はペロリと舌を出した。


「ふーん、じゃあベンチ入っていいか?」


「おうっ!!」


俺は颯ちゃんと笑い合いながら、ベンチへ引き返して行った。

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