《MUMEI》 俺は試合が終わるのを見届けると、在る所へと向かっていた。 俺に群がる人達を押し退けて。 向かった先は蓮翔ちゃんのいるチームのベンチ。 俺はベンチへと繋がる扉のドアノブに手を掛けると、ふと手を止めた。 そういや、アイツの親父、監督だったんだよな……? 俺は直接合うのは不味いと思い、扉から少し離れた所で蓮翔ちゃんを待つことにした。 しばらく、目を閉じて待っていると、扉の向こうから明るい声が飛び交っていた。 何気なく扉へ目を向けると、元から開いていた扉の隙間から蓮翔ちゃんが見えた。 蓮翔ちゃんは楽しそうにチームメイトとふざけ合っている。 …いや、いじられてるのか? すると、扉の向こうの蓮翔ちゃんと目が合った気がした。 不味い!!!来るなっ!! だが、俺の願いも虚しく、 「颯ちゃんっ!!!」 どでかい声と共に、蓮翔ちゃんがバタバタと駆け寄って来た。 前へ |次へ |
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