《MUMEI》

「にしてもさー、七生袴似合うね。白い袴って結婚式みたいだあ。」

太郎兄の軽快な運転で出発する。




  「「結婚……」」

七生が助手席で良かった。

ちょっと、照れ〜……
なんて……。


「ん?何……?」

太郎兄、ちょっと察知したみたいだ。


「あ……あは、」

自然と顔が綻ぶ。


「わはは、はー……」

七生もらしい。


「あはははははは……」

とにかく、可笑しい擽ったさ。


「わははははははははは」

七生も応える。


「きゃあああー」

三葉ちゃんもご機嫌だ。


「わあ、なんかアットホームだあ〜。」

太郎兄が呑気で良かった……。まだ空気が恥ずかしいみたいだ……


「七生の袴姿は婿殿なんだねっ。」

俺の婿……


「おっ、俺も可憐な婿が欲しいなあー……」

な、七生君っ……!
感動です。
車内じゃなかったら抱擁したかった……!


「 え゛ 婿……?」

うおわあ、聞かれた!


「むっ……、向こう!向こうに行こう!」

ごまかし、必死だ……。
俺達いつもこんなかんじだな……でもいつか言わなきゃいけない。


大丈夫、七生が居れば。









 初詣編 終

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