貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
ファースト・アタック
三機のMTは次第に無差別に破壊活動を始めた。
「…機体の完成度はどうなっている?」
「はい、現在は既に全駆動系、電気系統のチェックは終了しています。武装も実戦で十二分に…」
「こんな時までMTの話をする!今はそんな場合じゃないだろ!?」
しかし俺の張り上げた声も聞かず、親父は机の上にある小さなデバイスを俺に放り投げた。
「…なんのつもりだ」
「お前がVALを動かせ、テストは済んでいる。」
あまりにも淡白に、しかしめちゃくちゃなことをサラリと言い放った。
「ふさげるな!動かしたこともない機体に乗っていきなり実戦をやれっていうのか!」
「そうだ」
「なっ…」
俺は唖然とした、いくら今が緊急事態とはいえ実の息子に躊躇い無く実戦やらせようなんて…
「いいか、今お前が駄々をこねている間に奪われる命があるんだ。お前はそれをできないから、無理だからと見捨てるのか?」
「し、しかし」
「失った命に言い訳は効かないんだ!行け!」
もう俺は訳もわからず機体に乗り込んだ。
デバイスを差し込むと機体が目覚め始めた…
無線で通信が入る。
「いいか、芥。いきなりの実戦とはいえこの機体…いつかお前が考えた作りと全く同じにしてある。」
「そこまで忠実に…?」
ということはつまり、俺が思い描いていた操縦方法がそのまま当てはまるのである。
「なら…難しく考えることは無いんだ。よし…!」
親父の手の上で好き勝手に使われているようで嫌だけど、街や…比奈を守らないと!
「駆動系確認、武器は…」
左肩部に内蔵された高速無反動砲“ラグナス・キャノン”
そして右肩部に内蔵された白兵戦用のバスタードソードか…
「芥、立てるか」
「やってやるさ」
思い出した方法でレバーを動かす。
VALはゆっくりと起き上がった。
「よし、地上へのハッチを開くぞ」
ゆっくりと天井が開き地上への斜面が現れる。
俺は何度も深呼吸を繰り返した。
「操縦はできるんだ、死んでたまるか…!」
足のペダルを踏みしめる。
「ローラーブースト!行きますッ!」
脚部のローラーとバーニアの加速で一気に地上へと疾走した。

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