《MUMEI》
困った時は忍に相談
《今更だな》


(そりゃそうだけど…)


あまりにキッパリと忍に言われて俺は凹んだ。


《あの、お前の大好きな婆さんも言ってただろう》


忍は、基本的に俺が教えても、固有名詞は使わない。

特に、春日さんは、旦那様と同じ苗字だからか、固くなに呼ぼうとはしなかった。


「…っ、でも。春日さんは、秘密にしてもいいとはあったけど…

嘘をつけとは言って無かった」


俺は、全てを今友達と呼べる人間に話すつもりは無かった。


ただ、今まで普通に積み重ねてきた嘘が、あまりにも多いのが気になったのだ。

《何を訂正したいんだ?》

「俺の、生まれと、背中の事と……
忍との関係」


最後は、かなり緊張して、声がかすれた。


《…》


「…大さんに、説明したみたいに、…果穂さんに説明したみたいに、固有名詞は言わないから」


旦那様の名誉は傷付けないから…


《俺の事は訂正するな》

「え? そこ?」


そこは普通一番訂正しやすいだろうと思っていた。


《するなら、卒業してからにしろ。俺は、お前の保護者で、お前の友達に会う確率が高い。

…一緒に嘘をついていたのがバレたら、余計な恨みを買いそうだからな》

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫