《MUMEI》
嫌悪感
なんだ……





二人トイレから帰って来たと思えば
国雄は殊更営業スマイルを振り撒くし。


昭一郎はひたすらに影に徹し食事に集中している。




口に広がるワインが渋い。

何か、あったな……

   ……セックスした?


聞いてやりたい。
昭一郎は不変にナイフとフォークを動かすが、俺は気付いた。

彼の耳元が仄かに赤らんでいたのを。




 不味い、


誰かに見られる食事だと、半分も食が進まない。



「楽しい会食でしたね。」

萌の、
絡み付く腕は棘でも生えているんじゃないか?

振り払えば傷に塗れる。


レイと国雄と昭一郎がタクシーに乗り込む時、俺には近付けない線引きをされた。

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