《MUMEI》
慣れたやりとり
「おはよう! はい!祐也!誕生日プレゼント!」

「おはよう、ありがとう」

(このパターンも慣れたなぁ…)


志貴の早朝訪問に、しみじみしている俺がいた。


「ところで、これ、何?」

志貴からのプレゼントは、かなり大きかった。


「洋服! 柊の文化祭用!」


(あぁ、そういえば…)


柊から『今年の文化祭は絶対来てね』と何度も言われていた。


「でも、早くない?」


柊の高校の文化祭は、三ヶ月後の七月だった。


「いいの! それなら調整できるから」

「ふ、ふうん…」


何だか、志貴の笑顔が怖かった。


「相変わらずテンション高いな…」

「祐希、おはよう!」

「おはようございます」


(そっか、今日、燃えるゴミか)


俺は屋代さんが持っているゴミ袋を見て初めて気付いた。


「ごめん、志貴。俺もゴミ捨て行くから」

「じゃあ私も一緒に行く」

(あ、そうだ)


ついでに俺は、志貴が機嫌がいいうちに、部活についても話してしまおうと思った。


「それから、俺、演劇部に入ったから」


「「え?」」


志貴と、何故か前を歩いていた屋代さんが足を止めた。

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