《MUMEI》

「僕、氷室様のことは知っていたいんだ。もう、分かんないことで頭を悩ませたくないし!」


「志雄君、やっぱり君は良い好敵手なんだねっ!」

僕達は互いに千秋様の事を念い合って高め合える仲だねっ……!


「新井田さん、眠れませんですがー……」

螢さんは布団の中でもぞもぞする。


「はいはい、病人の周りで騒いじゃいけません。」

新井田さんは二回手を叩いてその場を纏める。

いつも穏和で優しい新井田さんだが時折、涼しげな鳥肌が立つ笑顔をする。
それは、千秋様の怖さや千守さんの綺麗さとはまた別の雰囲気だと思う。




「むう……、納得いかない」

志雄君は両手を振るう。


「千秋様の言うことだよ?きっと僕達を心配してくれたんだよ。」

僕の言葉に志雄君はふーっと溜め息を漏らした。


「甘いね……!
明石君たら、そんなんじゃ氷室様と真の良好な関係は築けないんだからっ!」

真の良好な関係……?!


「志雄君、その、真のナントカって僕知りたいんだけど……!」

千秋様が前に何か言っていたぞ……!


「真の良好な関係?」


「そうそれ……っ!」

僕の新しい目標にしよう!

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