《MUMEI》 「俺……二郎が好きなのは変わらない。」 七生の口調が口説くモードに切り替わる。 そうやって、何人の女の人をオトしたんだ? 「ふーん……」 あ、あからさまにふて腐れたようになってしまった。 「……二郎の犬になりたかった。」 「――――――――は?」 また、よく分からん事言った! 「俺のこと飼い馴らして……」 それは、俺に女王様になれと……? 「こんなでかい犬いるか……」 なんだよ犬って。 七生が自転車を停めた。 凛々しい横顔が真っ直ぐ、こちらに向かってきた。 ぴくりと、言葉を放つ前の唇の動作に妙な色気を出される。 こんな表情も七生は出来てしまうのか。 「首に、鎖を掛けて、鼻先にキスをする…… 犬は飼い主を嘗める。」 なんか、 七生の発する一つ一つの言葉に耳がざわつく。 言うこと、おかしいよ……おかしい? 違う。 この言い方は…… 「すけべ……」 俺を変な気にさせやがって。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |