《MUMEI》

俺は駆け寄って来た蓮翔ちゃんの頭を軽く叩いた。


声デカいだろっ!!


蓮翔ちゃんもそんな俺の不安に気付いたみたいだ。


「親父なら大丈夫。」


「?」


どうやら蓮翔ちゃんの親父は入院しているらしい。


だから楽しそうに笑い合えたのか。


そうと分かった途端、妙な安心感が沸き上がり、


「ベンチ入っていいか?」


久し振りに蓮翔のいるベンチへ入りたくなった。

「ああ、もちろん!!」

俺と蓮翔ちゃんは他愛の無い話しをしながら、薄暗い一面コンクリートの通路を歩いて行った。





カチャリ……


俺は扉の前まで来ると、ドアノブに手を掛けて開こうとした。


だが…
………開かない。


「っかしーな……」


「ん、どした?」


直ぐ後ろで、蓮翔ちゃんが不思議そうな声を上げる。


「この扉、やけに重いんだよな…。」


そう言って俺は右足で思いっきり扉を蹴った。


ガンッ!!!!


すると……

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