《MUMEI》

「……誠と…」


「……うん」


「びっくりだ…」


「…うん、俺もそう思う、俺全然イケてねーのに俺でいいのかって今だに信じらんなくて」


「え?違うって!そうじゃない、貢が凄いンだ」

「は?長沢??」

「うん、そう、実は誠が日高の事好きなんじゃないかって見破ってたんだ」

今度は俺がこそこそ語りだす。
俺に冗談で告ったエピソードは抜いてあの時のやり取りを説明する。
日高の奴柄にもなくもじもじしながら黙って聞いていた。


「じゃあなに、もしかして計画的に喰われた可能性もありって事?」
「かもな、でもまあ誠は優しいし良いんじゃないか?よかったな、あいつなら大切にしてくれるよ」

「うん…」

静かに頷いてまた机に突っ伏した。









「貢凄いな、さすがに経験豊富なだけあるな」
「聖ちゃん、なんかちょっと刺の匂いがした気がするんだけど気のせい?」

「気のせい気せい!
つか仕方ないもん、過去に嫉妬したってどうにもならないし」
ごめんねって言いながら後ろから抱きすくめられて、俺は笑いながら貢の手をぽんぽん叩いた。




手際よく作ったオムライスをテーブルに置く。ケチャップだけじゃなくてソースも混ぜた貢好みの味付け、極めつけはふわふわタマゴの上にケチャップでハートのマーク。
つか、ハートは貢リクエストなんだけど。
「聖ちゃんどんどん料理上手になるね」
本当に美味しそうに食べてくれるから作りがいがある。
「いつまでもコンビニ弁当ばっかじゃしょうがないもん、こんなんでよかったら何時でも作るし」


あ〜暖かい雰囲気。貢はスプーンを皿に置いて俺を引き寄せキスを仕掛けてきた。
「食べてから」
「うん、急ぐ」

慌てて食べだす姿がなんだか可愛いく感じて。
日高達もこんな風な思い出来たらいいなって思った。




「あてずっぽうつか、冗談が本当になるなんて…」

「は?何が?」


「いや…なんでもない……」

今日もいっぱい抱き合ってキスをして、腕の中で眠くなる。

俺達が童貞かどうかなんて…


幸せならどっちだって…


って事で



END

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