《MUMEI》
「……誠と…」
「……うん」
「びっくりだ…」
「…うん、俺もそう思う、俺全然イケてねーのに俺でいいのかって今だに信じらんなくて」
「え?違うって!そうじゃない、貢が凄いンだ」
「は?長沢??」
「うん、そう、実は誠が日高の事好きなんじゃないかって見破ってたんだ」
今度は俺がこそこそ語りだす。
俺に冗談で告ったエピソードは抜いてあの時のやり取りを説明する。
日高の奴柄にもなくもじもじしながら黙って聞いていた。
「じゃあなに、もしかして計画的に喰われた可能性もありって事?」
「かもな、でもまあ誠は優しいし良いんじゃないか?よかったな、あいつなら大切にしてくれるよ」
「うん…」
静かに頷いてまた机に突っ伏した。
▽
「貢凄いな、さすがに経験豊富なだけあるな」
「聖ちゃん、なんかちょっと刺の匂いがした気がするんだけど気のせい?」
「気のせい気せい!
つか仕方ないもん、過去に嫉妬したってどうにもならないし」
ごめんねって言いながら後ろから抱きすくめられて、俺は笑いながら貢の手をぽんぽん叩いた。
▽
手際よく作ったオムライスをテーブルに置く。ケチャップだけじゃなくてソースも混ぜた貢好みの味付け、極めつけはふわふわタマゴの上にケチャップでハートのマーク。
つか、ハートは貢リクエストなんだけど。
「聖ちゃんどんどん料理上手になるね」
本当に美味しそうに食べてくれるから作りがいがある。
「いつまでもコンビニ弁当ばっかじゃしょうがないもん、こんなんでよかったら何時でも作るし」
あ〜暖かい雰囲気。貢はスプーンを皿に置いて俺を引き寄せキスを仕掛けてきた。
「食べてから」
「うん、急ぐ」
慌てて食べだす姿がなんだか可愛いく感じて。
日高達もこんな風な思い出来たらいいなって思った。
▽
「あてずっぽうつか、冗談が本当になるなんて…」
「は?何が?」
「いや…なんでもない……」
今日もいっぱい抱き合ってキスをして、腕の中で眠くなる。
俺達が童貞かどうかなんて…
幸せならどっちだって…
って事で
END
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫