《MUMEI》

シンと静まり返った教室。

おるんはウチ独りだけ。

「何や‥忘れもんか‥」

せやったらそう言うてくれたらええのに‥。

「──はぁ‥」

何で何も反応してくれへんのやろ。

ウチの事嫌いやから‥?

嫌いなら嫌いて言うてや‥。

何で無視ばっかりすんねん‥。

≪カタン‥≫

ウチもそろそろ帰ろかな‥。

カバンを肩にかけて教室の戸に手をかける。

出る前に‥

振り向いて窓際の机を見たら──‥

夕焼け色の教室で‥‥

そこだけが眩しく見えた。

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