貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
ワールドエンド
そういえば、戦隊物の番組で必ず登場してくる“悪の組織”はどうやって出来たのだろうか?
子供の頃は全く考えなかった事だが、中学二年になってやっと疑問に思った。
よくあるパターンで、まず悪の組織の悪役が人質などを取り、そこでヒーローが出てくる。
悪役を殴り、蹴り。光線を出して、最後には巨大なロボットを繰り出して悪役を殺す。

正義はもちろんヒーローなのかもしれない。しかし、悪役は命を張ってまでの“何か”があったのだろうか?
話が逸れてしまった。なぜ悪の組織が出来たか?
それはこの世界に不満があるのだろう。
悪の組織の親玉が宇宙人か何かだったら話は別かもしれないが。
俺もこの世界に不満が無いわけではない。
かと言って悪の組織とやらを作るつもりもない。
さて、なんでこんな事を思ったか、それは目の前の男の主張を聞いたからである。
「世界を破壊したらいいと思うんだ」
いきなり何を言うんだ。
そのような類の話は全くしていないし、中間テストもそれほど近くはない。それに笑えない。
夕陽に染まった教室。窓側にいる僕等の影は長くなっていた。
どう返していいのか見当がつかないのでとりあえず黙ってみる。
目の前の男は冗談を言ったわけでもないと、真剣な眼差しで俺を見つめる。
「なんでそう思う?」やっと言葉がみつかった。
「世界を変えるんだ」「破壊しちまったら、変えるも何もないだろ?」
こいつの発想は恐ろしい、何を考えたらこんな事を思い付くのだろうか?
「破壊はしない。」
うむ、それがいいだろう。
「破壊が出来ると脅かせればいいんだ。」
また恐ろしい事を言ってのけた。
「誰だって死は怖いもんだ。僕だってそうだ。こんなちっぽけな僕の手で世界を変えるにはこれしかないんじゃないか?」
「脅しで変えるような世界は絶対よい方向には向かないと思うが…」
いい事言ったぞ、俺。「じゃあ、この世界はいい方向に向かってるのか?」
それは、わからない。所詮まだ中学生、社会にも出てない俺は世界がどうなどと深く考える事がなかった。
二人しかいない教室は暫し、静寂に包まれた。
夕陽は落ちて月が昇る。
「そろそろ帰るわ。」
鞄を持つ、神田勇樹を背にして俺は教室を後にした。
世界を壊すだの、スケールがでか過ぎるだろ…。

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