《MUMEI》 意外な反応橋本君は、仲村さんの妹の息子だった。 [ふ〜ん] [あれ? 興味無い?] てっきり頼も、橋本君にちょっかいを出しに行くと思っていたから意外だった。 [だって、仲村の親戚だろ] [嫌いなのか?] [父さんがね] 頼の父親は、志穂さんのいとこの徹さんだ。 (もしかして…) [当たり。昔、父さん志穂さんが好きだったんだ。 今は母さん一筋だけど。…そっくりだろう? 声] [うん] 確かに、頼の母親のケイトさんの声は、志穂さんにそっくりだった。 [これ、秘密ね] 頼の言葉に、俺は頷いた。 「いい加減に、お前も部活に行けよ!」 「仕方ないなぁ〜、またね、保ちゃん」 「『ちゃん』付けすんな!」 「可愛いなぁ、私もこんな弟欲しかったなぁ」 「やめて下さいよ!」 「お〜い、そろそろミーティング始まるぞ〜」 橋本君に拒まれたから、俺は遠くから声をかけた。 しかし、志貴が橋本君を引っ張って側に来たから、意味が無いような気がした。 橋本君が来ると、頼はさりげなく坂井さんの方へ行った。 事情を知らない志貴は、頼が花嫁候補と仲良くしに行ったのだと思っていた。 前へ |次へ |
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