《MUMEI》 首に 鎖を 掛けてやる。 こんなに指先が震えるものだったなんて。 金具が上手く留まらない。 七生の静かな息遣いに脈打つ。 血管が首筋を通うのを見た。 目が合うと 七生の黒瞳に惹き付けられて、体が強張る。 駄目だ、 これは危ない。 七生の事をホントに好きならはっきりしなければいけない。 揺れる鎖に指先が離れるまでに決断を迫られる。 「二郎、ほら、して?」 体中に七生の命令が走る。 馬鹿みたいに俺は逆らうことも出来ず、 七生の鼻先に恐る恐るキスをした。 唇が触れたとこから七生の事を知れたならいいのに。 こんな曖昧な 気持ちでいいのかな。 これは、初めてセックスしたときの不安に似てる。 流された好きだけじゃ、どうしようもなかった。 体さえ重なればどうにかなると思ったあの頃。 前へ |次へ |
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