《MUMEI》
地面の下
太陽の光を浴びて眼を閉じると 決して見えないなんてことはない。

あたたかな白い世界が、視界を支配する。

そんな空間を知った。

遠くで誰かが呼んでいる。
「…………鬼ごっこだよ…」昌の後ろを正平の声が一瞬通り過ぎた。

昌は見渡してみても、はっきりと自分の掌さえ見ることは出来なかった。
声の出し方も忘れた。

正平は昌の反応が可笑しくてならない。
確かに昌である形をした存在は正平が話し掛けた辺りをうろついていた。

昌は諦めて目の前に揺らめく物体を捕らえようと走る…といっても、足場は此処では存在しない。

正平は皆と手を叩いた、最近はよく友達が見える。
自分の半分の身の丈しかない友達。

この世界と同じ白さで、ぷくぷくした赤ちゃんの姿をした、顔の無い彼ら。
しかし、在る、無い、なんて定義は無意味でしかないのだが。

たくさんの彼らと昌と正平は、夢より鮮明な意識の中で、意識より不確かな世界に包まれた。



何処を進んでも受け入れる、優しい世界

涙が止まらない。
此処が美しいせいだ。

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