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《MUMEI》 行き着いた先は誰もいない、薄暗いリビング。 両親は仕事で、こんなに耽った今時でも帰って来ない。 「…っと…あった！」 視界がまだ良く開けないまま探していたのは、救急箱。 こんなもので止血出来るか分からないけど…。 俺は箱ごと取り出すと、一目散に自分の部屋へ引き返した。 ﾊｧ…ﾊｧ… 息を切らしながらバタンっと乱暴に扉を開けると…… 「ウソだろ……。」 床一面、血の海だった。 「う、ウソだ…。こんなの幻に決まってる。」 そう思いつつも、足の裏から伝わって来る生暖かい感覚が幻では無いことを暗示させる。 そ、そうだ！あの人は…。 俺はハッと息を飲むと、未だに血を流して倒れている人の側に駆け寄った。 靴下にべったりと血が付くのが分かる。 でもそんなもの気にしない。 まずはこの人を助けなきゃ！！ そう思い、力無く投げ出された腕を取る。 脈はーー ……ﾄｸﾝ………ﾄｸﾝ…… かすかながら、まだある！！！ つい顔が綻ぶ。 そうして救急箱の中から包帯を取り出すと、流血の発端の羽根をグルグル巻きに締め上げた。 ……ふぅ……。 どうにか収まったかな。 大役をやり取り遂げたと思うと、緊張仕切っていた体が安心感と共に一気に崩れ落ちる。 俺は、下が血の海になっていたことも忘れて、その場にへたりこんだ。 前へ |次へ |
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