《MUMEI》
〈第五話〉仲間たちと共に
「よお、いっくん、今帰りか?」


「やあ、おに〜ちゃん!」


…わ、素敵な人…


おに〜ちゃんの隣の女性の笑顔にドキッとした。


「覚えてるだろ?従姉妹の恵子(けいこ)」


「ハイ!久しぶりね、いっくん。」


…う、ウソだ、ウソだ、あたしは信じないぞ!誰がなんと言おうと騙されるもんか!


昔良く遊んで貰った(…と言うよりいたぶられた)ケーコタンは〜男まさりのお転婆少女だった。


あたしに、初めて野球を教えてくれた人。


「おらっ、いっくん、お古のグローブあげるよ。」


「グローブ?くっさぁ…」


「ばかね、良い匂いじゃない。」


「…いたあ〜」


「ばかー、何の為にグローブしてんだ?」
ボールを捕れないあたしに、ゲキを飛ばすケーコタン。


それが…
それがどーしてこーなるの?
こんなに…
こんなに素敵な笑顔の大人の女性に。

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