《MUMEI》
THE・インストール!
ここはアンドロイド育成学校、通称農園。
僕が生を受けて14年、造られてから、もう10年も経った。そして、僕は普通の中学ではなく、アンドロイド専用の学校の門を叩くことになった。


「次!谷村京介隊!」
鬼教官の安西先生の声が練習所に響き渡る。プロテクトスーツに身を包んだ僕と、同じグループの3人が専用のゴーグル(アウル社が作ったアンドロイド専用のゴーグル。熱反応、音源探知、遠距離等の複数の機能を備えるが、学校用としては射撃訓練と占拠訓練がプログラムされている)を装着し、授業画面に切り替えて、射撃訓練ボタンを押す。
「この訓練は、感覚をより忠実に再現した我が社の自信作です。どうぞお楽しみ下さい」
女性オペレーターの声がそう伝えると、灰色の練習所の壁に、ゴーグルを通して一瞬にして赤いホログラムの二重丸の的が浮かびあがった。
今から僕のグループはそれをどれだけ多く破壊するかで真剣になる、そして、それがこの訓練の面白さだった。
「それでは訓練を初めてみましょう」

「インストールD!」

僕達が声を発した直後、左手のチップからうねるようにして機械の部品が伸びていき、腕の背から手の甲までを包む黒長い兵器になった。
「始め!」
合図とともに僕らは的に向かって一斉掃射。
「ガガガガガガガガガガガガ」というガトリングの音が耳に入る(体験している京介には、的、弾、音などは、ゴーグルによって脳内に伝達する、的も弾もホログラムなので、他の動物には危害が無い)。すでに狙った的は蜂の巣になっていた。
今持っているインストール登録番号D、またの名を【超高速ガトリングガン】は、訓練用で弾も発射しないけど、本物だったら大体の物は一回引き金を引けば粉微塵になる位の殺傷力を持っている。
ゴーグルを通して、画面中に赤い的がいくつも出てくる。残り時間15秒。
撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ。
残り2秒、最後の的を撃ち抜く。赤い的が点滅して、やがて消える。

「止め!」

合図が降る。
結果は56個。グループでは2位の成績だった。
「やっぱり佐伯のグループは強いよな〜」
同じグループの丹藤勝と柳延彦がゴーグルを邪魔そうに外し、そう呟いた。
「しょうがねぇよ、1位のグループにはアイツがいるから」
今度はクラス1の秀才、蛯原源二の指さす方には、2組の高坂真里が、ゴーグルを取って長い髪をなびかせていた。
「アイツ、75個のうちの34個も叩き出してるんだぜ!?」
怪物かあいつ?と言う勝は無視して、源二の言ったとおり、射撃訓練では右に出る者はいないし、テストは学年トップ3には確実に入る。しかもカワイイ。
「でもさ、女のアンドロイドって少ないんだろ?」
そうだけど、と源二。
「お前気があるのか?」
「違がうって」
勝が僕をおちょくる。少しだけイラッとしたけど、すぐに抑える。

キ――――――ンコ――ン

「整列!これにて射撃大会を終了する!」
安西教官が点呼をしたあと、ぞろぞろと同級生が練習所から出ていく。
勝と、延彦は二人でトイレに向かう。源二は一人、キズの多い眼鏡のレンズを服で拭いている。僕はといえば、次の授業は社会科。またアンドロイドの歴史についてだろうな、だなんて事を考えている。

ふと、先程話題になった高坂真里が目の前を通った。
ちらりと。こっちを見て、直ぐに練習所を出ていった。その目はまるで人を見下したような目だった。
「やっぱりお前、高坂に気があるだろ」
トイレから出てきた延彦を軽く蹴っ飛ばし、僕は急いで自分の教室に向かった。

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