《MUMEI》

一連が全て、映画の様だった。

男達が一斉に武器を上げどら声を張り上げる。
馬達は前脚を上げていななく。

その花道をイェンシンを背に、一騎の黒馬が速度を下げながら凱旋してきた。

(此処は・・・あの人は・・・一体・・・)

困惑しながら、絶壁から歩み下がった時、背後に獣の鳴き声がした。

「危ないっ!!」

振り返ると、人の顔をした巨大な怪鳥が恵に向かって飛んでくるのが見えた。

「――――っ!?」

ベンジョンが恵に覆いかぶさる。

腕をやみくもに振り回しながら、ベンジョンが泣きべそ顔で必死に鳥から恵を庇う。

「ベンジョン!!」
「この化け物!!」

周囲にいた男達が、鳥めがけて石を投げ付けた。

怪鳥は獣の様な鳴き声を上げ、石を投げた男の内の一人に向かって飛び、その喉笛に噛み付いた。

鮮血がほとばしる。

「いっ・・・やあぁぁぁーーっ!!」

見たことのないその壮絶な光景に――恵は悲鳴を上げた。

血の気と共に、意識がすぅっと遠くなる。

「あっ・・・!」
「君!?」

そのまま――恵は気を失った。




































――微睡み




肢体から力は失せ、まるでたゆたう様な意識。



見えない水面を感じながら、その下でゆらゆらと恵は漂う。

眠りはいつも心地よい。

このまま、全てを忘れて溶けてしまいたくなる様な感覚・・・。

――不意に、人の気配を感じた瞬間、父の怒鳴り声を感じた気がして、恐怖と共に飛び起きる。


殴られる――!!


心臓がバクバクと早鐘を打つ。

見回しても父の姿はなかった。

大きく息を吐き、寝台上で膝を抱えた恵に、おずおずとした声が掛かる。

「起きた・・・?」
「え・・・」

恵が顔を上げると、巨大な体躯の割に、小さな目が心配そうに自分を見つめている。

「あ・・・」

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