《MUMEI》

「煌 焔星(ファン イェンシン)」

――焔星(イェンシン)が名乗る。

「好好・・・それで、小姐(シャオ ジエ )のお名前は何と言うのかな?」

象 金惠がにこにこしながら、問うてくる。

「恵・・・池田 恵・・・」

「池田 恵・・・」

象 金惠は、首を捻る。

「それで・・・?」

焔星が問うた。

「何処から来た・・・?あの光と謳は何だ」
「わ、わからない・・・」

恵は、焔星の燃え盛る紅の瞳から目を逸らす事が出来ないまま、答えた。

「あたし・・・あたし、自分の部屋にいて携帯いじってて、ひ、光と・・・」

――『謳』、が・・・。

「・・・どうしてぇ・・・?あたしの部屋は?此処・・・日本じゃないの・・・?」

又、涙が溢れだす。

「日本・・・」

青天が、象 金惠を見た。

「明白了。(ミンパイラ)
・・・お前さん、どうやら人世(レンシー)から来なすったらしいな」

「『人世』・・・?」

恵は、金惠の言葉を反芻した。

「恵・・・と言いましたね。貴女のいた国は日本と言うんですね?」

青天が恵に念を押す様に聞いた。
恵は訳が分からないまま、こくり、と頷く。

「日本か・・・確か、漢字が使われていたな」

焔星が金惠を見た。
青天も金惠を見る。

「時代毎に、多少の変化はありますが、確かに漢字があった筈です。
彼女の時代さえ、特定出来れば・・・」
「ふぅむ・・・太陽暦なら分かりやすいんだがな」

金惠は恵を見つめたまま、言った。

「青天、何か書くモノを・・・あぁいや、俺達が移動しよう。此処は死者の前だ。
恵と言ったな?好好・・・涙を拭くと善い。
美味い茶を飲ませてやろう――好好、茶ぁでも飲めば幾らか気分も落ち着くさ」

四人は部屋を出る。

「あ・・・」

恵は寝台に向かって、手を合わせた。

焔星は恵の動作を見ていたが、金惠に続いて部屋を出た。
青天にさぁ、と促され、恵も部屋を出る。

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