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《MUMEI》 「いえ、そういう訳ではないですよ」 青天が苦笑した。 「あれは『惠力』(ホイリー)と言って・・・」 青天は紙に『惠力』『力人』と書いて、恵に見せた。 「この世界に稀にいる『力人』(リーレン)と呼ばれている人々のみが持つ、特殊能力なんです」 「『力人』・・・」 「『黒』は、何色にも染まる事のない、高潔な強さを持った色・・・この世界では、聖なるものや力を現します。 取り分け『黒鳳凰』はその象徴でもあります」 「好――青天、紙を寄越せ」 好象大人は、青天から紙を受け取り、中央に○を描き、その中に『皇』という字を書いた。 周囲にも八つの○を描き、それぞれ中に文字を書いて、恵に見せてくれた。 「これが、この世界の縮図みたいなモンだ。国の名には、皆下に『天』が付く」 『皇天』(ホァンティエン)から北には『玄天』(シュエンティエン) 北東に『変天』(ビエンティエン) 東に『蒼天』(ツァンティエン) 南東に『陽天』(ヤンティエン) 南に『炎天』(イェンティエン) 南西に『朱天』(ジューティエン) 西には『昊天』(ハオティエン) 北西には『幽天』(ヨウティエン) 「恵、お前さんが、今いるのは此処だ」 好象大人は、南東に書かれている『陽天』(ヤンティエン)を指で示した。 「お前さんが現われたのは、此処から馬で東に10キロ程の処にある、『鳴鳥』(ミンニャオ)の砦だ」 「あのぅ・・・」 遠慮がちに恵は口を開いた。 「貴方達は・・・あたしのいた世界を知っているんですか?」 ――実は、初めて好象大人に逢った時から気になってはいたのだ。 好象大人の着ている衣服・・・。 (・・・何で、甚平・・・) ――そう。 それは恵の世界の、取り分け恵の国で、善く目にするであろう――甚平だった。 (とっても似合ってはいるんだけど・・・) 何だか少し可笑しかった。 「そうさな、知っていると言えば知っている。 知らんと言えば知らんなぁ」 前へ |次へ |
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