《MUMEI》

「あぁ、それで・・・」

恵は頷いた。

「好好・・・俺の着ているコイツも、タンポポのあやかりモンさ」

好象大人は、おどける様に甚平の裾を摘んでみせる。

「あの・・・それから、この世界の言葉なんだけど・・・」
「日本語ベースの中国語の様に感じるでしょう?」

思っていた事を、青天に言い当てられる。

「でも逆なんです。中国語ベースの日本語と言った方が正しいかも知れません」
「どうして・・・?ですか?」

青天が優しく微笑む。

「それはね、『凰』がどうやら中国人らしくて、『凰娘娘』が日本人だったからなんです。
元々、『鳳』は決まった言語を持ち合わせていなかったそうで・・・伴侶である『凰』の国の言葉を使う事にしたんでしょう」

青天はお茶に一口付けてから、続けて説明した。

「日本語に関しては『凰娘娘』がきっかけで後から入ってきました。日本語は、非常に話し易い・・・けれど、筆記は結構難しいんです。
何しろ、漢字・ひらがな・カタカナを使い分けますからね。その点、中国語の筆記は漢字のみなので、使い易く分けたんでしょう。
後から入ってきた筈の日本語は、今や国中で使用されています。
但し・・・多少時代がごちゃまぜだったり、造語もありますから、正しく日本語であるとも中国語であるともいえないんですけどね」
「ふぅむ、しかし人世からなぁ・・・」

好象大人がお茶を啜った。

「凰から数えて三人目だな、人世から来た娘は」
「他にはいないんですか?」
「ふむ、滅多やたらに人世の奴らがこの天藍に来る事ぁないな。はてさて・・・」

好象大人は恵を見て微笑んだ。

「――お前さん、これからどうするね?」
「えっと・・・」

戸惑う恵に焔星が声を掛ける。

「言っとくが、俺等はてめぇの世界なんざ行けねぇ。
俺等に行く手段がねぇのに、てめぇが帰る方法を知っていると思うか?」

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