《MUMEI》

焔星は煙草を口にくわえ、火を点けた。

その煙草も、恵の世界で見た事のある銘柄だ。

「つまり――帰れねぇんだよ、てめぇは」
「・・・か、」

――帰れない・・・?

「まだそうと決まった訳ではないでしょう?焔星」

青天が嗜める。

「何らかの方法を見つけてあげないと・・・」
「ごめんだな」

焔星は煙を吐きながら、如何にも億劫そうに言った。

「俺もお前も、大人も只でさえ忙しいだろが。
迷子の面倒なんざ、見る気はねぇよ」
「迷子・・・」

恵は、むっとして焔星を見た。

焔星は、馬鹿にした様に鼻で嗤う。

「迷子を迷子っつって、何が悪ィ」
「――焔星」

青天が嗜め声を出す。

「ふむ・・・恵、お前さん、人世では、学生かね?」
「がくせい・・・」

笨重が呟く。

「あちらの世界で、学会(シュエホイ)に通っている人の事ですよ」

青天が笨重に説明する。

どうやら、学校はそう呼ぶ様だ。

「学校・・・は、卒業しました。
今は・・・介護の仕事をしてて・・・」

――そうだ。

仕事・・・。

(どうしよう・・・)

「看護工作(カンフーゴンズォ)?お前さん、看護人(カンフーレン)か」
「えっと・・・」

意味が分からない。

好象大人は、紙に『看護工作』『看護人』と書いてくれた。

恵は、『看護』の字が入っているのを見て慌てた。

「看護婦じゃないの。えぇっと・・・」
「好好・・・、かいごしょく、と言うんだったかな。
この字じゃ、『護士』(フーシー)と混乱するかな?あれは確か――かんご、し・・・?」
「――おい・・・」

焔星が好象大人に、苦い顔を向ける。

「まさか、コイツに『ホータイタイ』を任せる気じゃねぇだろうな」
「ロ艾、很明白(アイ,ヘンミンバイ)」

好象大人が頷いた。

途端に、焔星が噛み付く。

「大人!イ尓、認真或者!?(ニ-,レンジェンフオジョ-!?)」

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