《MUMEI》
新たな報告義務
《それでどう? 厳と頼の様子は?》


(頼のヤツ…!)


見知らぬ番号から聞こえてきたのは果穂さんの声で


俺の番号を知ってて、果穂さんに教えそうな人物は、頼以外にいなかった。


(だから教えるの嫌だったんだ)


演劇部の連絡網の為とはいえ、頼に教えるのはかなり嫌だったが


あの、部長の薫子スマイルに押し切られた。


頼は、意外に演技が出来て器用なヤツだから、文化祭で一人二役を演じる事になった。


そのうちの一つは、かなり嫌な役なので、誰も演りたがらなかったから、頼が立候補してくれて、部長も坂井さんも助かっていたのだ。


《ちょっと、聞いてる?》

「は、はい。聞いてます」
《ちゃんと報告してよね》

「あの、俺…見極めとかやっぱり…」

《月一回でいいから…ダメ?》


急に果穂さんが弱気な口調になった。


「あ、あのだめっていうか…」


忍に毎日報告している事を考えたら、月一回の報告は気にならない。


ただ、その内容が問題なだけだ。


《じゃあいいじゃない! 祐也が知ってる事教えてよ》


果穂さんは、今度は子供のように怒鳴り出した。


最終的に、俺は、果穂さんの勢いに



負けた。

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