《MUMEI》 可愛い後輩「先輩、これ、どこに戻したらいいですか?」 「あ、これはね…」 俺は、一緒に図書当番をしている後輩に棚の位置を教えた。 「ありがとうございます」 図書室だから、小声でお礼を言うと、後輩は本棚に向かった。 穏やかで、静かな時間 俺は、カウンターに座りながら、『二人静』の台本を読んでいた。 「先輩、終りました」 「じゃあ、時間までのんびりしよう?」 今日は図書室にはほとんど人がいなかった。 「はい」 俺の隣に座って、後輩も自分で選んだ本を読み始めた。 (和むなぁ) この、癒し系の後輩が 松本 美鈴(まつもと みすず)が、あのうるさい厳を好きだなんて、ちょっと信じられなかった。 しかし、松本は、図書委員の顔合わせの日に、俺に厳の事を知りたいと できれば、厳と自分の仲を取り持って欲しいと、真っ赤な顔をしてこっそり頼みに来たのだ。 そんな松本を見て、俺は柊を思い出した。 健気な松本を応援したい気持ちはあったが、果穂さんに止められていたのと ハイテンションな厳に関わるのが苦手な俺は、申し訳ないけれど、丁重にお断りした。 その間に厳は他の候補に口説かれていた 前へ |次へ |
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